ベースボールトレーニング blog | 岡山のパーソナルトレーナー 岡田 康志

野球で最高のパフォーマンスを発揮するためのからだの使い方、パワーや力を高めるためのトレーニングの考え方をご紹介

スローイングのメカニズム①(軸脚に体重を乗せて立つ)

スローイングでは、まず脚を上げて軸脚で立ちます。
その時に一度軸脚に完全に体重が乗って静止した状態を作る必要があります。
これが位置エネルギーとなり、投げるための運動エネルギーの基礎となります。
ここで十分位置エネルギーを蓄えるためにも重心を安定させ、一度動きを止める必要があります。

この時に見られる問題は重心が上下、前後に揺れてしまうことです。
投げる動作では重心を前方へ移動することによってボールに伝達するエネルギーを増幅しています。
ですから、重心をコントロールする必要があります。
重心がブレることでボールコントロールもうまくいかず、ボールが浮いたり下に沈んでしまいます。

基本的にはプレートの真上、軸脚の足の裏全体にフラットに体重が乗った状態に必ず持ってくることです。
真っ直ぐ立った状態、軸脚の上に重心がある状態からスタートすることです。
真っ直ぐ立つまで余計な動作をしても、スローイングに対して力を寄与するものとはなりません。
むしろ余計な動きをすると真っ直ぐ立った状態に持ってくる時の安定性の上で問題が生じます。

軸脚で立った時に起こりやすい問題は、軸脚の着き方にもあります。
コントロールの悪いピッチャーは片脚で立った時に重心が軸脚の小指側にかかり、親指が離れてしまいます。
そして次に親指を元に戻し波打った状態で前方へ移動していきます。
こういう状態では重心がブレて位置エネルギーを蓄えることができなくなるだけでなく、プレートを押し出す力が弱くなってしまいます。

一度重心が投球方向と逆方向に逃げてから前に持ってくると重心は後方から上方に上がっていきます。
そこから振り降ろそうとしても上がった状態から下げてくるのでボールは高めに抜けやすくなります。

また、軸脚一本で立った時に膝を完全に伸ばしてしまうことも問題です。
軸脚で立った時に膝が完全に伸びていると、軸脚の蹴りを十分に使うことができません。
前方へ重心を移動する時に膝が曲がっていないと軸脚で後方へ蹴り出すことができません。

バランス良く立つという状態は、膝を少し曲げた状態です。
足首・膝・股関節が僅かに曲がった状態はリラックスしたポジションでもあります。
膝を完全に伸ばした棒立ち状態ではうまく投げられません。

前方への重心移動の際には沈み込めというアドバイスをよく耳にしますが、不自然に沈み込んで重心を下げ過ぎると重力をうまく使えないので前方への加速度が制限されてしまいます。
結果的にボールスピードの減速に繋がることがあります。
重心を低くするとボールが速くなったり、コントロールが良くなるということはありません。
むしろ重心を下げ過ぎると、ボールの軌道が地面と水平に近くなり、打者にとってボールが見やすくなります。

さらに、フォロースルーで腕を巻き込むことができなくなるので、減速ができず腕を前方へ放り出すことになります。
減速がうまくできないと肩の後方の腱板が伸ばされて肩の故障につながる危険性があります。